TOP   目次      次へ

赤玉土:火山灰が堆積してできた土で赤っぽい土。通常は篩い分けして細粒、小粒、中粒、大粒として売られている。保水、通気性に富み、また深いところから掘られているため雑菌が少なく挿し木や種まきに最適。培養土に混ぜたり、他の土と混ぜ鉢用土として用いるのにとてもよい。しかしリン酸分を多く吸収するため施肥には注意する。

秋の七草:ハギ、ススキ(尾花)、くず、キキョウ、フジバカマ、ナデシコオミナエシ。山上憶良が「秋の野に咲きたる花をお指折りかき数ふれば七くさの花」や「萩が花尾花、葛花なでしこの花女郎花また藤袴朝貌の花」と詠んでから秋の草の代表として定着したようだ。最近知ったのだがよくよく調べて見ると、秋の七草はどれもが漢方薬として利用できるものばかりなのだ。一概に観賞用だけとみるのは間違っているかも。

アルカリ土壌(alkaline soil):酸性土壌に対して塩基の反応が強い土。石灰岩土壌や塩分を含む土に多く、また乾燥気候の地域では多い。アジサイでは花色がピンクや赤色になります。一般にpH(水素イオン濃度指数)が高い土を指し、石灰を大量に撒いてしまった土でも同様なことが起こり鉄分マンガンなどが植物に吸収されにくくなってしまう。

アルカロイド(alkaloid):植物全般に分布し動物に対して強い生理作用を与える窒素を含む塩基性物質。総称して植物塩基とも言う。科学的にいろいろな物質が含まれかなり多くの種類が見つかっている。隠花植物や単子葉植物には少なく、ケシ科(以下略)、アカネキンポウゲ、メギ、セリマメナス、マチンなど。逆にシソバラアブラナには見出されていない。有名なものではタバコニコチンやケシの阿片、コカノキのコカインなど。また毒ではあるが医薬品としても使われており、べラドンナは鎮痛剤に、コカインやモルフィン系アルカロイドなどは麻酔薬になど他にもたくさんあります。

アントシアン(anthocyan):植物の花や葉に色をつける色素で花青素とも呼ばれるフラボノイド系色素です。アントシアンはギリシャ語で「花」意味するanthosと、「青」を意味するkyanosとの合成語です。青、赤、紫や紅葉のあの色はこのアントシアンにより色付けされている。紅葉は秋の低温と強い紫外線により葉の細胞に含まれている葉緑体の働きが悪くなり、クロロフィルが分解した後アントシアンができてくる。そのため赤く見える。また、クロロフィルの少ない部分は同様にアントシアンができやすいため赤っぽく見える。植物の必須要素であるリンやカリ、マグネシウムなどが欠乏してくると同じように赤くなることが多くこれは紅葉と同じように葉緑体の働きが悪くなるためらしい。アントシアンは非常に不安定な色素のためすぐに褪色してゆきます。難しいですがこの一群はほとんどが配糖体として存在しており、色素の本体であるアグリコン部分はアントシアニジン(anthocyanidin)、その配糖体をアントシアニン(anthocyanin)と分けており、特に区別しない場合をアントシアンと呼ぶようです。また、アントシアニンはブルーベリーやビルベリーなどに多く含まれ、目によいとして健康食品のひとつに含まれるものとし有名です。ちなみにナスの表皮の紫色もアントシアン系(ナスニンと呼ぶらしい)の色素です。アントシアニン色素には代表的なものにデルフィニジン、シアニジン、マルビジン、ペツニジン、ペオニジンなどがあり、もっとほかにもたくさんあるようです。

育苗箱:種を蒔いて一時的に苗を育てたり、挿し木をする為の床にする箱。大体長方形で浅い器で昔は(今も使ってる?)木箱だったが今はプラスチック性で下に水はけを好くするために篩のように穴がたくさんあいている。最近はプラグ苗という形もあって小さな苗がすぐ抜いて根痛みが無いように分離しているプラグトレーもある。

一代雑種(F1)雑種を参照

一年草(annual plant)種をまいて約一年以内で成長・開花・結実・枯死する植物のこと。他に一年生草本と呼ばれたり、春まき一年草、秋まき一年草などがある。しかし一部の種類では日本では一年草だが本来の自生地では多年草のものもある。

益虫(useful insect):みなに嫌われるクモもクモの巣は邪魔だが、害虫駆除に役立ち蛾などを捕まえてくれる。カマキリは花によってくる有用な昆虫も捕まえることもあるがやはり害虫を駆除してくれます。他、テントウムシはアブラムシを食べてくれたり、寄生バチの種類によっては、葉を食害する幼虫を退治したり、皆刺されることで敬遠するアシナガバチなどは巣があるそばにあまり芋虫などがつきません。などなどいろいろな例があります。写真へ

萼(calyx):花びらの外側にある緑色の部分(緑ではないものもたくさんあります)。萼がそのまま花に見えるものも多い。ユリなどは花弁と萼がなんとなく分かりにくい。

果実:植物が花を咲かせた後、結実してその時にできる種を目立たせるものもしくは種自身を指す。成熟した果皮は外果皮、中果皮、内果皮からなっていて中果皮と内果皮は乾燥したり液質だったりする。

単果 一花に一子房がありこれが成熟したものを指す。さらに分けると割れない閉果、割れる裂開果がある。
閉果 中果皮と内果皮が乾燥した乾果と水っ気の多い肉質果がある。
乾果
えい果 イネ科の種子をさす。イネ科の花には内えいと外えいがあり、雌しべが果実になってもこの内えいと外えいが残っているのでこの名がある。別名穀果ともいう。 イネ科
堅果 どんぐりやクリなど表面が硬い殻に覆われている種子の形状。果皮は乾燥して木質状になっている。熟しても裂開しない。 クヌギやクリなど
痩果 果皮が薄い膜に覆われていて1個の種子に密着していて全体が一つの種子に見えるもの。 キク科など
分果 2心皮以上から構成された子房を持ち、成熟すると心皮の数だけ中軸から分かれて離れるもの。分裂果ともいう。 セリ科シソ科など
包果 特殊な果実で苞の変形したえいが袋状になりその中に果実がある。また、果皮が膜質になっていて中に種が入っているもの。 スゲ属、ケイトウなど
翼果 種の周りや片側に果皮がひれのように伸びていて翼がついているよう。風に乗って少し遠くへ飛ばされたりします。 カエデ科、ニレなど
分離果 数個の種子を持つ乾いた果実が、1種子を持つ数片に分かれるもの。一部のマメ科の植物。 オジギソウ属など
肉質果
うり状果 液果の一形状。中果皮に水分が多く、3側膜胎産が隣接して多数の種子が散っているもの。 スイカやキュウリなど
液果 果肉(中果皮)に水分が多く含まれて、やわらかい。その中に種子が入っているもの。 カキ、ブドウなど
石果 中果皮は液質だが内果皮が厚く堅くなっていてその中に種が入っている。 ウメ、モモ、クルミなど
ナシ状果 花が終わって結実すると果肉が発達して肉厚になり真正の果実を包み込んでいるもの。 リンゴやナシなど
裂開果   成熟すると乾燥して裂けてきて種を散らすもの。
蓋果 広義ではさく果の1種だが果実の横に割れ目ができてふたのように上の部分が取れる種類をさす。 オオバコ、マツバボタンなど
角果 熟して莢が裂けると中央に隔壁が残る種類。このうちアブラナのように長い莢のものを長角果、ナズナなどの短いものを短角果という。 アブラナ科
孔果 孔開さく果とも言い、成熟すると決まった場所に穴があきそこから種がこぼれて散っていく種類を指す。 ケシ科、キンギョソウなど
さく果(capsule) 2枚以上の心皮からなる子房が発達し、実が熟すと乾燥した後に先端から裂けて中から種が出てきます。(さくの字は朔に草冠) ユリ科ヒルガオ科ゴマノハグサ科など
袋果 1心皮子房の果実で成熟すると決まった位置から裂けて種を散らします。 シキミ、トリカブトなど
豆果 名前のとうり豆のような莢をもちその中から種が出てきます。 マメ科
集合果 複果ともいい、さらに2通りある。
一花性複果 1個の花に多数の子房がありそれらが成熟して1個の果実に見えるものを指す。
イチゴ果 結実すると花宅が肥大し、その周りに小さな石果がつく。 イチゴや蛇イチゴなど
キイチゴ果 結実すると雌しべの基が小さく肥大し中に石果がある。 キイチゴ類
バラ果 壷形の花托が多肉質になり中に多数の痩果が入っている。 バラ属
ミカン状果 その名のとうりですが、袋状の中に果肉があり中に種が入っている。袋状の果肉はいくつかに分かれていて、さらに外側に中果被、外果被と包まれています。 かんきつ類
多花性複果 桑やパインナップル、タコノキなどが含まれる。
イチジク状果 花序の軸が肉厚に変形し壷状となり、その内側に痩果がたくさんつく。 イチジクなど
球果 松ぼっくりがそのもので中に種が入っています。湿度や環境に変化があると中から種が出てくるようになっています。 マツ科

花序花のつく配列の様式のこと。天辺に花が最初に咲いて徐々に咲き下がって元のほうにくるものを有限花序(遠心花序)。元から上に咲きあがって行くものを無限花序(求心花序)。この2つに大別されているがさらに、分枝の状態によって集散花序と総穂花序の分かれる。有限花序には単頂花序、単出集散花序〈ワスレナグサ〉(さらに巻散花序、蝸牛状花序、扇状花序、互散花序)、二出集散花序(岐散花序)〈マサキ〉、多出集散花序(多散花序、団散花序、輪散花序〈シソ科〉、隠頭花序〈イチジク属〉)がある。無限花序には総状花序〈ナズナ〉、穂状花序〈オオバコ〉、尾状花序〈ブナ、クルミ〉、肉穂花序〈サトイモ科〉、散房花序〈アブラナ〉、散形花序〈ウコギ〉、頭状花序〈キク科〉の単一形から複合した形の円錐花序、複散形花序〈セリ科〉、異形複花序、巻散総状花序〈トチノキ〉、頭状散房花序〈ノコギリソウ〉、藺(い)状花序、密錐花序など。

花壇(flower bed):草花を綺麗に植えて見せる敷地や場所。幾何学的な形の場所にさらに植物も幾何学的に配置したり、色彩豊かに植えたりします。時代により流行もあり、最近は屋上に庭園まで行かなくとも緑化の関係で小さな花壇にするところもあるようだ。写真

花被葉が変形した花の一部でおしべの外側に位置して、おしべやめしべを保護し、さらに花の存在を引き立たせている。松や柳には無い。普通内外に2層に分かれており、外側を外花被、内側を内花被という。内花被は花冠とも呼ばれ大体が色づき綺麗。また外花被は萼とよばれる。

花粉塊ラン植物にある花粉で、通常は粉である花粉が固まっていて、昆虫などに何度も花粉をつけるのではなく、一度に花粉を運ばせるように塊状になっています。(あー植物の進化っておもしろい!)

救荒植物:今ではなかなか無いことだが、かつては天候不順などで農作物などが収穫できずに飢饉などにみまれることがあった時代、山野草や野に生える植物で食草になるものや薬草として利用できるものなどのこと。これらを記した書物もあった。

球根植物(bulbous plant):生育するにあたって厳しい環境や季節を乗り切るために地下に植物が茎や根、葉などを肥大させて養分をためておき、地上部が休眠状態になり枯れる。季節になると新たに芽吹き、成長、開花するものを指す。球根と呼ばれるものには色々種類がある。また。植える時期によって春植え球根(グラジオラスやダリア)と夏植え球根(ステルンベルギアやリコリスなど)、秋植え球根(チューリップ、ヒヤシンス、スイセンなどたくさんある)に分かれ秋植えの物は寒さにあたり休眠が打破するものが多く事前に冷凍処理して早くから出荷する方法がある。中には日本では寒くて球根でも年を越せないのでハウス内で作る植物もある(球根ベゴニア、アマリリス、カラジュームなど)。

塊茎 tuber 茎の基の部分や地下茎が成長肥大し養分を貯めて塊になったもの アネモネやカラーなど
塊根 tuberous root 根っこが栄養が貯められるように肥大したもの。因みにダイコンなどは肥大根という。 ダリア
球茎 corm 茎が肥大して養分を貯めこむもの。洋ランのバルブ(球茎)は別です。 グラジオラスやフリージアなど
根茎 rhizome 地下茎が肥大して養分が貯められるようになったもの 生姜やカンナなど
鱗茎 bulb 葉が地下部で多肉状になって養分が貯められるようになったもの。 アマリリスやチューリップなど

クマリン(coumarin):桜の葉の香りといえばこのクマリンが成分に含まれているから。バニラグラスも揉むとこの香りがします。また、カツラの葉が秋に落葉するときに焼いたパンのような香りがするのですがこの香りもクマリンです。細かい成分等(抗酸化物質のポリフェノール/フェノール酸系)は省きますが、香りのものとして一部利用されていますが大量摂取がよくないの注意が必要です。桜餅の葉ぐらいでは何ともありません。オオシマザクラ、バニラグラス、カツラ、ヒヨドリバナなど多くの植物に含まれています。調べていてわかったのですが近年では蛍光反応を示すことから軽油に混ぜて粗悪品などとの識別に使われているそうです。

根粒菌マメ科植物の根に侵入してところどころにこぶ状のものをつくる。根粒菌は空気中の窒素分を根に固定して宿主に提供している。根粒の仕組みは、植物の根毛から誘引物質が出され、それに集まってきた根粒菌がそこで増殖してゆく。根毛から分泌されるトリプトファンからインドール酢酸を作り根毛の一部を増殖させる。この根毛の先端から根粒バクテリアとインドール酢酸が浸入して根粒になる。マメ科植物以外にも根粒を作る植物が知られているが、放線菌によるものがおおく、窒素固定の能力も低い。ちなみに生物による窒素固定を窒素同化と呼んでおり、根粒菌を含め空気中の遊離窒素を固定する菌を窒素固定細菌と呼んでいる。

                 TOP   目次     次へ