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ヤシ科   Palmae(Arecaceae)

主に熱帯域に分布する植物で183属2361種ほどある。常緑性で高木、低木、つる性がある。アフリカや西アジアには少ない。日本にもシュロなどが自生している。ヤシ科は形態的に多様化しており、水辺に生えるものツルとなって他の樹木にからんでいくもの、森林性のものなどある。また、その地域での産業に役立つものも多く、籐は籠や家具などに、ココヤシなどは食料や石鹸などの油脂など種類によっていろいろと使われている。観葉植物としての歴史はかなり古く大航海時代以降、その時代の大きな都市では温室を作り植え込まれたりしていた。


アイファネス属   Aiphanes
熱帯アメリカに約35種が自生している。幹や葉の葉柄部分、花序や苞にまで刺をつける。葉は羽状葉で孔雀の尾に似ている。属名はギリシャ語のaiphnes「鋸刃状の」に由来しており小葉の先端の形状からきている。鉢物などで流通したのは見たことが無いので植物園にしかなさそうです。
オビレハリクジャクヤシ


アラゴプテラ属  Allagoptera
5種が知られておりブラジル、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチンに分布する。近年ポリアンドラココス属がこちらにまとめられた。
アルゴプテラ


アルコントフェニックス属  Archontophoenix
6種が知られておりオーストラリア東部に分布する。代表的なユスラヤシなどがある。


アレカ属  Areca
60種が知られておりインドシナ周辺地域に広く分布している。
アレカ


クロツグ属  Arenga
17種が知られており熱帯アジアに多く分布しており一部がオーストラリア北部に自生している。日本では沖縄などにクロツグが自生しています。


アッタレア属  Attalea
72種が知られており熱帯アメリカに分布しています。
アッタレア


ベンティンキア属  Bentinckia
2種が知られておりインドとニコバル諸島に分布している。
ベンティンキア


ボラソデンドロン属  Borassodendron
2種が知られておりマレーシアとボルネオに分布する。
ボラソデンドロン


オウギヤシ属  Borassus
5種が知られており熱帯アフリカ、マダガスカル、インド〜マレーシアにかけてそれぞれ分布する。植物園などではオウギヤシが植栽されているのを見ることができます。


ブラヘアヤシ属  Brahea
12種が知られており中央アメリカ〜南アメリカに分布する。一部の種から油を採取するようです。
ブラヘア


ブティア属  Butia
11種が知られており南アメリカに分布する。日本ではヤタイヤシの名前で知られている。


トウ(カラムス)属  Calamus
400種あまりが旧世界の熱帯域に自生する。特にマレーシアなどのを含む東南アジアに多い。この仲間は同定が難しいらしい。雌雄異株。このヤシのツルというか幹を使って籐製品が作られている。私は昔、竹の仲間で作っているのだと思っていました。カラムス


カリプトロカリックス属  Calyptrocalyx
26種が知られており、ニューギニア周辺に分布する。
カリプトロカリックス


クジャクヤシ属  Caryota
12種がインド諸島周辺や熱帯オーストラリアなどに自生しています。観葉植物としてクジャクヤシが販売されています。


テーブルヤシ(カマエドレア)属  Chamaedorea
100種が熱帯アメリカに自生している。観葉植物としてテーブルヤシなどが栽培されている。


チャボトウジュロ(カマエロプス)属  Chamaerops
1種のみの属で地中海沿岸地方に自生するチャボトウジュロがある。


ココトリナックス属  Coccothrinax
49種が知られておりキューバや西インド諸島に分布しています。
ココトリナックス


ココヤシ(ココス)属  Cocos
ココヤシ1種のみの属。これほど有名で有用な植物も早々なさそうだが。世界各国の熱帯の海のある島々に植えられている。


フトエウチワヤシ属  Copernicia
25種が知られており西インド諸島周辺やキューバ、南アメリカなどに分布している。地動説を唱えたコペルニクスに因んでいます。カルナバロウは様々な用途に使われる最高級のワックスですがこの仲間から採集します。
コペルニキア


コリファ(コウリバヤシ)属  Corypha
熱帯アジア〜オーストラリアの熱帯域にかけて6種が自生している。花が付き果実が熟すと植物本体は徐々にかれるらしい。コウリバヤシ


ショウジョウヤシ属  Cyrtostachys
8種がマレーシアやニューギニアなどその近隣などに自生が見られます。鉢物で観葉植物としてヒメショウジョウヤシがあります。


ディプシス属  Dypsis
140種が知られておりマダガスカルとコモロ諸島に分布しています。いくつかのヤシの属がこちらの属へまとめられています。
ディプシス


アブラヤシ属  Elaeis
2種が知られており熱帯アメリカと西アフリカにそれぞれ1種ずつ分布する。実から油をとるためにギニアアブラヤシが栽培されている。


ヒドリアステレ属  Hydriastele
48種が知られておりマレーシア東部、オーストラリア北東部、フィジーに広く分布している。
ヒドリアステレ


ヒオフォルベ属  Hyophorbe
5種がマスカリン諸島やモーリシャスなどに分布する。トックリヤシなどが知られている。


ヒトツバクマデヤシ属  Johannesteijsmannia
4種が知られておりマレーシア西部に分布する。
ヒトツバクマデヤシの仲間へ


ラタニア属  Latania
3種が知られておりマスカリン諸島に分布する。日本ではベニウチワヤシの名前で植物園などで見れるようです。


リクアラ属  Licuala
130種が知られており東南アジア〜バヌアツ、オーストラリアなど広い範囲に分布しています。葉の形状が丸いタイプが多い種です。
リクアラ


ビロウ属  Livistona
28種ほどがアフリカ北東部やアラビア、琉球諸島、インド洋の諸島やオーストラリアなどに分布する。
ビロウ


オオミヤシ属  Lodoicea
オオミヤシのみの属で、非常に大きい実がなることで有名。セイシェル諸島のみに自生。


トックリヤシ属  Mascarena
現在はHyophorbe属にまとめられています。


サゴヤシ属  Metroxylon
8種が知られておりマレーシア東部やニューギニア、カロリン諸島などに分布しています。カロリンゾウゲヤシのように装飾につかわれるものやサゴヤシのようにでんぷんを採取するなど有用なヤシがいくつか知られている。


ネオディプシス属  Neodypsis
現在はディプシス(Dypsis)属にまとめられています。


ニッパ属  Nypa
1種のみの属でインドシナ、琉球、ソロモン諸島などに分布しています。ニッパヤシの名前で知られています。


オンコスペルマ属  Oncosperma
スリランカやフィリピン、スマトラなどに約5種が自生する。株立ち状に育つ。属名はギリシャ語の瘤(onkos)と種子(sperma)に由来する。これは種子に瘤があることによる。スリランカの植物園で見た、シダレコブダネヤシが印象的。


オラニア属  Orania
19種が知られておりマダガスカルに多く、タイ南部〜ニューギニア、オーストラリアにも分布する。
オラニア


オルビグニア属  Orbignya
熱帯アメリカに20種が自生する。ヤシの実の中の胚乳から良質な油が取れることで重要な植物となっている。
コフネヤシ


ペラゴドクサ属  Pelagodoxa
メラネシアに分布する1種ペ・ヘンリヤナのみの属で絶滅危惧種です。


フェニックス属  Phoenix
ナツメヤシや公園などに植樹されているカナリーヤシが有名。17種類が熱帯〜温帯のアフリカやアジアに自生する。


ピナンガ属  Pinanga
120種が熱帯アジアやインドなどの概要の島々など分布する。
ピナンガ


ポリアンドロココス属  Polyandrococos
現在はAllagoptera属へまとめられています


プリトカルディア属  Pritchardia
23種が知られておりフィジー、ハワイ、サモア、トンガなどそれぞれの島々に分布している。
プリトカルディア


プティコスペルマ属  Ptychosperma
オーストラリアやニューギニア、マレーシア東部などに28種が知られている。シュロチクヤシなどが観賞用に栽培されている。


ラベネア属  Ravenea
9種がマダガスカル、コモロ諸島に分布する。
ラベネア


レインハルドティア属  Reinhardtia
6種が知られており中央アメリカに分布する。
レインハルドティア


カンノンチク属  Rhapis
8種が知られており中国南部〜マレーシア東部などに分布する。日本ではカンノンチク、シュロチクともに観賞用として古くから栽培されている。


ダイオウヤシ属  Roystonea
12種ほどがカリブ海の島々や南アメリカ南西部に自生が見られる。ダイオウヤシが代表的で植物園などに植栽されている。


サバル属  Sabal
16種が知られておりアメリカ南東部〜南アメリカ、西インド諸島などに分布する。単幹だが地中に幹を生ずるものがある。
サバル


サラッカ属  Salacca
20種が知られインドシナ周辺に多くマレーシアには17種ほど分布している。サラカヤシが植物園では見られた。


ヤエヤマヤシ属  Satakentia
ヤエヤマヤシ1種のみの属で沖縄県の石垣島と西表島に分布している。


シアグルス属  Syagrus
32種が知られ南アメリカに分布する。ジョオウヤシ


シュロ属  Trachycarpus
4種ほどが中国南部や九州などアジア南部に自生が見られる。庭園などにシュロやトウジュロが植栽される。


ヴィーチア属  Veitechia
9種以上が知られており、フィリピンやバヌアツ、フィジーなどに分布する。マニラヤシ


ワシントンヤシ属  Washingtonia
2種が知られており北アメリカ南西部に分布しています。日本にも庭園や植物園にワシントンヤシは植栽される大型のヤシです。

ゾンビア属  Zombia
1種のみの属でエスパニョーラ島に自生しているゾンビア・アンティラルムだけです。


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